本の感想
一日八冊の絵本を読む猛者に当てられて、私も真面目に読書しました。
昨日読み終えたのが『島はぼくらと』(著者:辻村深月さん)
ヌラの長編書いている時に買ってそのままだったやつ。
面白かった。
田舎の話。島の話。人間関係の話。
メインとなるのは、高校生(女2男2)だけれど、
この島ではシングルマザーが多いのもあってか、女性の話が多い。
田舎って嫌な所がいっぱいあると思うのね。
田舎出身で他県に行った人は覚えがあると思う。
確かに嫌な所はある。噂の回り方がおかしいし、ねちっこいし。
でもそれに助けられる面もある。
災害が起きた時、他人の生活習慣、他人の家の内部構造を知っているからこそ救助がスムーズに出来たこと、お互い様の精神とか。
その二面性を見つつ、島という閉鎖空間で暮らす人々を眺めて、体験して、
読後はとても気持ち良かった。
私はほんの感想を上手く言えないので基本面白かったの一言しか言えんな……。
詳しく言うと、ただのネタバレだし……。
うーん……。
あ、いいなと思ったのは、孤独がすっと癒えた場面。
メインの高校生に不良っぽい男の子がいる。
この子は、幼少期に島に来た「外の人」。
ホテル経営をするお父さんと、デザイナーのお母さん。
幼稚園の頃、二人が離婚する事になり、親にはどちらかを選んでいいと言われ、
あたりまえだけどとにかく悩むのである。
悩んで悩んでって時に、同級生の女の子(明るい)に
「私と〈兄弟〉になろう!」
と言われる。
この兄弟というのは島特有のもので、血縁ではないものが結ぶ契りである。
兄弟や、兄弟の家族になれば何があっても助ける。
例えば葬式があった時も、当然参列する。
兄弟が死んだ後、兄弟の嫁子供の面倒を見るのも当たり前。
血縁以外の強固な繋がりであり、絶対的なものである。
これは男同士でしか結ぶことが出来ない。
だがそれを、この同級生の女の子が「しよう」と言う。
家族以外から差し伸べられた手に、救われ、慰められたことで、
この男の子は島に残ることを決め、お父さんを選んだ。
お父さんとお母さんを比べて、お父さんを選んだのではなく、
「女を選んだ」のである。(卒業までに告白するつもり)
それまでこの子は少し冷めた感じで、四人の同級生グループの中でも、
少し浮いた存在(三人は島の子供)に思っていたのだが、
明かされた内面が好きすぎて天を仰いだ。尊い。好き。
そのほか、コミュニティデザイナーのヨシノ、元オリンピック選手の蕗子も好き。
とても良かった。
たった文庫本一冊に収まる話なのだけれど、
登場人物のことを尊く、いとおしく思えるのは、やっぱ文がいいんだよなあ。
読んでて気持ち良かったよ。
辻村さんと言うと、『かがみの孤城』を読みたいと思って、早数年……。
そろそろ買いたいね。
と、言いつつ、私は「黒牢城」を購入したのであった。
「幸村を討て」とか「竜血の山」とか「天使突抜 おぼえ帖」とか。
色々と欲しい本はあって甲乙つけがたいのだけれど、なんとなくノリで選んだ。
自分の本のまとめをやらないといけないけれど、商業の本も読みつつ進めていくよ。
一週間に一冊のペースくらいが時間と財布に無理がなくて良いかなと思っている。