四コマ42
「私の為に争わないで!(必死」
幸福を呼ぶザシキワラシ。不幸を呼ぶビンボウガミ。
この二人は同一のものである。という考え方がある。
富を運ぶザシキワラシが去る事で、貧するということはザシキワラシのせいで富を失うということ。
厄を持ち込むビンボウガミが去れば、家が富んでいくのはビンボウガミが厄を運び出してくれるということ。
どこを基点にするかで変わってくるのである。
ビンボウガミは星詠みだったので全然使わなかったし、性格が暗くておどおどしているので特に推すことはなかった。
……のだが、デフォルメで描くと可愛いかもしれない(自画自賛入ってる奴)
カビ祭事か、週末小話か、どの話かで良いキャラしてんなぁ、と感心した事がある。
書く人が書けば、多分めちゃくちゃ面白いキャラになる。
そう思ったのは、最近やったゲームのお陰なのです……。
クルッポーの三作目である本作。
紅林ノアのルートが終わりました。今は組長ルートです。
クルッポーは前作、前前作である、
『抜きゲーみたいな島に住んでるわたし(貧乳)はどうすりゃいいですか?』1、2をプレイ。(通称:ぬきたし)
その出来がよすぎたので、新タイトルも迷わず手を出した。
話の内容は、
全裸魔の主人公が捕まって懲役を食らい、豚箱にブチこまれて人権無視の扱いを受ける。
……という話。
説明すると全然面白くなさそうになっちゃうな。
露出狂が捕まるのはフツーだし、ムショ行きもおかしくないし……。
主人公の露出理由。
主人公は全裸で人前に出ることを芸術と考えている。
全裸になることが自己表現なのである。
だから悪気はない。誰かを傷つけたいわけではない。
主人公には友達がいないが、ひとりだけ友達がいる。
名前を「アマツくん」という。
このこがいるから、辛い刑務所暮らしもなんとかやっていっているのだ。
プレイヤーのぼくは、二重人格かな? 昔の友達かな?
などと考えていた。そしてわりとすぐアマツくんの正体は判明した。
アマツくんとは、主人公の股間にいた。
アマツくんは男性器そのものだった。
プレイヤーぼくのきもち
「今まで大人っぽい口調で話してたヤローは全部股間やったんかい……」
これが全裸の話に繋がってくるのだが、アマツくんを皆に知ってもらうために、
彼(男性器)を露出していたのだ。
……一見主人公は頭のイカれたサイコ野郎なのだが、主人公からすると、どうして世間が芸術と判ってくれないのかが判らない。
世間とズレた価値観故に犯罪をおかし、この度特別刑務所に連れていかれたのだ。
主人公視点でプレイしているので、なんとなく周囲からの理解を得られず孤独な主人公が可哀想に思えてくる。
両親からも縁を切られ、姉だけが自分を心配してくれる。
だが、ゲームを進めていくと刑務官が言うのだ。
「じゃあお前たちは夜道で汚いものを見せられた人の恐怖が判るのか?
何も悪いことをしていない人がおまえたちのせいで外を歩けなくなるくらいの傷を負った。
自分は他人を傷つけておきながら、自分のことは助けてくれとは都合が良すぎる」
主人公視点なのであまり被害者の話はなくて、そこを刑務官がバッサリ斬り捨てる。
本当に可愛そうなのは、真面目に生きている市井の人々であると。
クルッポーの作品はドスケベギャグでコーティングしているが、取り扱う内容は社会問題が多い。
前回のぬきたしもマイノリティをテーマにしていて、妹はレズだし、マスコットキャラクターの中身は男だけど女の恰好をしているし……。
おっさんが酒飲みながら深夜に考えたようなド下ネタばかりなのに、テーマがかたい。
そのギャップが面白かった。夢中で読んだ。戦闘シーンもめちゃくちゃ熱かった。
そんななので、今回の『ヘンタイプリズン』もタイトルはふざけていても、中身はそれなりにしっかりしていると思ったのである。
ノアのルートは、再犯とか、更生とか、刑務所のスタンダードな話だった。
他の二人はどんな話なのか……。
現在組長ルートだが、まだ半分もいってないっぽくて、何の謎も判らず。テーマも不明。
極道の話になるのか……宗教の話になるのか……。
……、と、1/28発売のゲームだから浅い話でおしまい。
売れますように……。そしてクルッポーがまた新作出しますように……(気が早い)
話を変えて、この作品に出てくる「櫛森」というモブについて。
クソ森と呼ばれていて、性格はクソである。
自分が助かる為に平気で他人を蹴落とし、媚びを売りまくる。
最悪な奴なのだが、威圧されると弱い。
殴ったら従うタイプ。オドオドしていて奴隷気質。
それを上手く転がしてギャグに昇華しているところに、ライターの凄さを感じた。
マイナス要素の性格を持っているキャラはプレイヤーに嫌われるものだけれど、
それを愛すべきクソヤローに押し上げて、プレイヤーに受け入れさせるのが凄いなぁって。
結局描き方なのよね。
どんなに性格が野蛮でも、だらしなくても、酷い奴でも。
見ている人が好きになるかどうかは、書く人の腕次第で。
ほんとうまいひとってのはうまいなぁ……。